龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「ああ、優月」
圭吾さんのバカ。
そんな優しい声で他の人の名前を呼ばないで。
いつもの不機嫌な圭吾さんはどこに行ったのよ。
「志鶴が怪我をしたんだ」
そうよ。足が痛いわよ。
機嫌も悪いわ。
優月さんにデレッとしたら、承知しないんだから!
「学校で階段を踏み外しただけじゃない。レントゲンとか大袈裟!」
わたしはムスッとして言った。
「骨にヒビが入ってるかもしれないよ」
「軽い捻挫だろうって保健室の先生も言ってていたじゃない」
「軽い、なんて言ってなかったよ。それに、『だろう』じゃ困るんだよ」
「じゃ、湿布だけもらって帰ろ?」
「志鶴――」
圭吾さんは、助けを求めるように優月さんの方を見た。
「本人が嫌がっているなら、仕方ないんじゃないかしら?」
優月さんはちょっと考えてから、そう言った。
圭吾さんのバカ。
そんな優しい声で他の人の名前を呼ばないで。
いつもの不機嫌な圭吾さんはどこに行ったのよ。
「志鶴が怪我をしたんだ」
そうよ。足が痛いわよ。
機嫌も悪いわ。
優月さんにデレッとしたら、承知しないんだから!
「学校で階段を踏み外しただけじゃない。レントゲンとか大袈裟!」
わたしはムスッとして言った。
「骨にヒビが入ってるかもしれないよ」
「軽い捻挫だろうって保健室の先生も言ってていたじゃない」
「軽い、なんて言ってなかったよ。それに、『だろう』じゃ困るんだよ」
「じゃ、湿布だけもらって帰ろ?」
「志鶴――」
圭吾さんは、助けを求めるように優月さんの方を見た。
「本人が嫌がっているなら、仕方ないんじゃないかしら?」
優月さんはちょっと考えてから、そう言った。