龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
わたしは頑張って笑顔を見せた。


「何かちょっと眠いみたい」


「痛み止めが効いてきたのかな……お昼、食べ損ねただろう? お腹はすいてない?」


わたしは首を横に振った。


「そう? ちょっと待ってて」


圭吾さんはわたしのシートベルトを外した。

それから車を降りて、いつものように助手席側に回って来た。


「歩ける? 抱いて行こうか?」


抱っこして――甘えた言葉はグッと飲み込んだ。


「歩ける」


病院で借りた松葉杖をついて、わたしはゆっくりと歩いた。

痛みはあるけど、一人で歩けるようだ。


「これなら学校に行けるね」


明るく言うと、圭吾さんは顔をしかめた。


「しばらく車で送り迎えするよ。でも、明日は休みなさい」


「明日の状態見てから決めない?」


「ダメだよ」

< 124 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop