龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「どうして? 僕のどこがいけない?」


へっ? どうしてそういう話になるの?


「いけなくなんかない。圭吾さんが正しいから言う通りにしてるだけ。間違ってたら、そう言うわ」


圭吾さんは疑わしげにわたしを見た。


「本当に? 病院で受付するまではそうじゃなかったよね?」


「あの後、あんまり子供っぽい態度だったから反省したの」


「反省なんてしなくていいよ」

圭吾さんは不満そうに言った。

「やっと心を開いてくれるようになったと思ってたのに」


えーと……


「圭吾さんだって、さっきは困ってたでしょ?」


「うん。でも君は普段、誰に対してもあんな態度はとらない。僕が相手だからごねたんだ」


「たぶんそうね――えっ?! じゃあ圭吾さんは、わたしがぐずった方がいいの?」


呆れた事に、圭吾さんはニッコリと笑った。


「だって、僕に気を許してるって事だろ? 頼むから普通にしてて。僕は、また何かをやらかしたのかと気が気じゃなかった」

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