龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「ホント、変な人!」


わたしはブツブツ言いながら、また歩き出した。

圭吾さんがゆっくりと後をついて来る。


「せっかく大人らしくしようと頑張ったのに、損した」


「僕は子供っぽい君が好きだよ」


それなら、優月さんのどこが好きだったのよ。

間違っても子供っぽくないじゃない。


「どうせ、わたしは『お子様』よ!」


ムッとして言い返すと、後ろで圭吾さんがクスクス笑っているのが分かった。


わたしは足を止めて、肩越しに後ろを見た。


こうなりゃ自棄(やけ)よ。


「圭吾さん、やっぱり抱っこして!」


「了解、お姫様」


うわっ!

待って、松葉杖!


「後で取りに来るから放っておけばいい」


圭吾さんはそう言うと、わたしを抱いてスタスタと玄関へと向かった。


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