龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】

ああ、何だか暖かい。

それに、すごくいい匂いがする――


「起きなよ、しづ姫。熱々のミックスピザだよ」


パチッと目を開けると、悟くんがわたしの鼻先にピザの箱を差し出していた。


「シーフードがよかった」


寝起きの不機嫌さでわがままを言うと、悟くんはニヤッと笑った。


「シーフードもあるよ。足はどう?」


「今は痛くないけど、何かズシッと重いわ。どうしたんだろ」


「それは怪我のせいじゃなくて、君の愛犬のせいだよ。脚の上で寝てるんだ」


上半身を起こしてみると、わたしにかけられた毛布の上で、ペロが気持ちよさそうに眠っていた。


「お姫様を起こすのは熱々のピザではなくて、王子様の熱いキスだと思っていたのに」

悟くんの後ろで彩名さんの声がした。


どうやら、わたしは母屋の居間で寝込んでしまったらしい。


「わたしの王子様はどこに行ったの?」

わたしは辺りを見回した。


「玄関でピザ屋に料金を支払ってる」

悟くんは悪戯っぽく言った。

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