龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「シワになるから脱がせたよ」


げっ! マジですか?!


「どうせ、短いスパッツはいてんでしょ?」

悟くんが言った。

「あれ、興ざめだよね。僕的には、制服の下は白か水色がいいな。清楚な感じで」


はぁっ? それ、女の子に興味のない人の台詞?


「脱がせたのは彩名だからね」

悟くんのコメントを無視して、圭吾さんが言った。


ああ、よかった


「圭吾って意外と品行方正なのよ」

彩名さんがコップにコーラを注ぎながら言った。

「圭吾、志鶴ちゃんをこちらに連れていらっしゃい」


「ああ」

圭吾さんはわたしの服を直すと、ペロの頭をそっと撫でた。

「寝たふりは終わりだ」

ペロは目を開けて圭吾さんを横目で見上げた。

「退けろ」


それは、静かな短い命令だった。

けれどその余韻は、空気を震わせるほどの力を持っていた。

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