龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】

「あー、実は昼休みに相談しようと思ってたの。でも、その前に怪我しちゃったから」

わたしは何気なさを装いながら言った。


「滝田が妙な事を言ってたよ。あの時、階段の上にピンク色の着物の人影が見えたって」


『あれ』だ!

美幸も見たんだ。


「えーと……明日……じゃない……明日は学校休むから、明後日のお昼に話すね」


「何の話だ?」

わたしの横に座っていた圭吾さんが聞いた。


そうよね。

普通聞くわよね。この状況なら。


「僕に相談事があるんだって。今でもいいよ」

悟くんはニッコリと笑って言った。

綺麗な天使の笑顔――だけど、明らかに意地悪してるっ!


「へえ。僕の事なら気にしないで、今、相談したら?」


け、圭吾さん、その猫撫で声、思いっきり怖いんですけど!


「や、やっぱ学校でっ!」


あ、声が上ずった……

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