龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「ほっといてくれ」
圭吾さんがぶっきらぼうに言う。
怖いもの見たさで盗み見ると、圭吾さんはスッと目を伏せてしまった。
どこが怖いんだか、よく分かんない。
「で、桜の匂いって?」
悟くんが聞いた。
「あ、うん。少し前から、身の回りで桜の匂いがするの。桜餅とか桜湯の、あんな匂い」
わたしはそれから、今日の事故の話と、怪我をする度に桜の香りを漂わせた人が現れる話をした。
年齢はまちまち。
でも、みんなわたしの怪我した場所を触りたがる。
「病院で見た子は、わたしに触った後、もっと幼い子供に変わったの。それで、人間じゃないんだって分かったんだけど」
「どうしてすぐに言わないんだ」
圭吾さんがボソッと呟くように言った。
わたしは俯いた。
だって―――
「家では匂いしないし、美幸に見てもらった時は何でもなかったし……ごめんなさい」
「謝らなくていい」
圭吾さんがぶっきらぼうに言う。
怖いもの見たさで盗み見ると、圭吾さんはスッと目を伏せてしまった。
どこが怖いんだか、よく分かんない。
「で、桜の匂いって?」
悟くんが聞いた。
「あ、うん。少し前から、身の回りで桜の匂いがするの。桜餅とか桜湯の、あんな匂い」
わたしはそれから、今日の事故の話と、怪我をする度に桜の香りを漂わせた人が現れる話をした。
年齢はまちまち。
でも、みんなわたしの怪我した場所を触りたがる。
「病院で見た子は、わたしに触った後、もっと幼い子供に変わったの。それで、人間じゃないんだって分かったんだけど」
「どうしてすぐに言わないんだ」
圭吾さんがボソッと呟くように言った。
わたしは俯いた。
だって―――
「家では匂いしないし、美幸に見てもらった時は何でもなかったし……ごめんなさい」
「謝らなくていい」