龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「たぶんね。うちの親父は切った方がいいと考えてたみたいだよ」
「でも、要さんは切らない方がいいと思ったんでしょ?」
「ちょっとちがう。『できることなら切りたくない』って思ったのさ。要兄貴は、生き物の言葉が分かるっていう『聴き耳』の持ち主なんだ」
「うん。前に美幸から聞いた」
「まあ、兄貴の気持ちは分かるよ。僕だって話し声が聞こえたら、切り倒すのはかわいそうだと思うだろう」
悟くんはちょっと悲しそうな顔になった。
「圭吾さんにも、生き物の声が聞こえる?」
だから切らない事に決めたの?
「その気になれば。でも、必要がなければ聞かないんじゃないかな。圭吾の場合は能力の制御が自在にできるから。要兄貴の聴き耳は生れつきで、嫌でも聞こえてくるんだ」
「どんなふうに聞こえるんだろう?」
「僕もそう聞いた事があるよ。鳥は鳥らしく、花は花らしく話すんだって」
悟くんは笑った。
「そう言われても僕にはピンとこなかったけど」
「要さんには当たり前の事なのね」
「きっとね」
「でも、要さんは切らない方がいいと思ったんでしょ?」
「ちょっとちがう。『できることなら切りたくない』って思ったのさ。要兄貴は、生き物の言葉が分かるっていう『聴き耳』の持ち主なんだ」
「うん。前に美幸から聞いた」
「まあ、兄貴の気持ちは分かるよ。僕だって話し声が聞こえたら、切り倒すのはかわいそうだと思うだろう」
悟くんはちょっと悲しそうな顔になった。
「圭吾さんにも、生き物の声が聞こえる?」
だから切らない事に決めたの?
「その気になれば。でも、必要がなければ聞かないんじゃないかな。圭吾の場合は能力の制御が自在にできるから。要兄貴の聴き耳は生れつきで、嫌でも聞こえてくるんだ」
「どんなふうに聞こえるんだろう?」
「僕もそう聞いた事があるよ。鳥は鳥らしく、花は花らしく話すんだって」
悟くんは笑った。
「そう言われても僕にはピンとこなかったけど」
「要さんには当たり前の事なのね」
「きっとね」