龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「でしょ? 大学は法学部を受けるつもりだけどね」


「じゃあ弁護士ってこと?」


それなら納得がいく。


「まさか。法の抜け道を知りたいだけさ」


「悟くんって、どこまでが本気なのか分かんない」


「だろうね。僕にも分かんないんだから」

悟くんは苦笑いを浮かべた。

「型にはめられたくない。自由でいたい。それっていけない事?」


「ううん。誰でもそう思ってるよ」

たぶん圭吾さんも。

「でも、みんな望んでも出来ない。生活していかなくちゃならないから」

或いは、責任を果たさなきゃいけないから。


「耳に痛い。うちの親父の説教よりよっぽど効くね」


「それ、叔父様に言わないでね。悟くんに説教してくれって頼まれたくない」


「僕が言わなくても、そのうち頼まれるよ」

悟くんは急に真面目な顔になった。

「みんなが君に頼み事をするようになる」


「わたしがみんなの頼み事を聞けば、圭吾さんの助けになる?」

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