龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「戻って来なかったら?」
もし、和子さんが見た影に食べられちゃったらどうするの?
「やっぱり僕が行った方がいいみたいだね」
「いいえ、わたしが参ります」
和子さんが言った。
「悟様は、志鶴様をお守りするのが御役目ですから」
「わたしも行く!」
だって、ペロはわたしの犬だもの。
悟くんは困ったように顔をしかめた。
「僕が逃げろと言ったら、和子ばあちゃんはしづ姫を連れて逃げること。絶対に、だ。約束できる?」
わたしと和子さんは頷いた。
「じゃあ、三人で行こう」
いかにも渋々といった感じで、悟くんが言った。
羽竜のお家は、増築と改築を繰り返してきた広くて複雑な建物だ。
ペロが走って行った先は江戸時代の建物とかで、今はほとんど使っていない。
かろうじて電気だけは通したらしく、和子さんがスイッチを入れると廊下に明かりが灯った。
廊下の床がギイッと軋む。
もし、和子さんが見た影に食べられちゃったらどうするの?
「やっぱり僕が行った方がいいみたいだね」
「いいえ、わたしが参ります」
和子さんが言った。
「悟様は、志鶴様をお守りするのが御役目ですから」
「わたしも行く!」
だって、ペロはわたしの犬だもの。
悟くんは困ったように顔をしかめた。
「僕が逃げろと言ったら、和子ばあちゃんはしづ姫を連れて逃げること。絶対に、だ。約束できる?」
わたしと和子さんは頷いた。
「じゃあ、三人で行こう」
いかにも渋々といった感じで、悟くんが言った。
羽竜のお家は、増築と改築を繰り返してきた広くて複雑な建物だ。
ペロが走って行った先は江戸時代の建物とかで、今はほとんど使っていない。
かろうじて電気だけは通したらしく、和子さんがスイッチを入れると廊下に明かりが灯った。
廊下の床がギイッと軋む。