龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
4
「それが桜の本体?」
ガラス玉を拾い上げる圭吾さんに、悟くんが聞いた。
「そうだ」
「そんなに小さかったんだな」
悟くんはフウッと息を吐いた。
「霊力っていうか、想いが強すぎて、普通のやり方じゃ僕には止められなかった。死ぬかと思ったよ――あー、すっごい匂い。当分、桜餅食べたくない」
同感。
「二人とも、何でこんなに時間がかかったのさ?」
「今回は厄介な事になっていてね」
「これだよ」
要さんが胸ポケットからハンカチを取り出しながら言った。
ハンカチを広げると、ガラスのかけらのような物がいくつも乗っていた。
「俺達が一本桜の所に行った時、木は空っぽだった。気配を追って行くと、見つかるのは分離したかけらばかりで」
「そんな欠けた状態で、よくこの家に入り込めたね」
「うちの門の外にもいくつかかけらが落ちていたよ。並の樹霊なら砕けていたことだろう」
ガラス玉を拾い上げる圭吾さんに、悟くんが聞いた。
「そうだ」
「そんなに小さかったんだな」
悟くんはフウッと息を吐いた。
「霊力っていうか、想いが強すぎて、普通のやり方じゃ僕には止められなかった。死ぬかと思ったよ――あー、すっごい匂い。当分、桜餅食べたくない」
同感。
「二人とも、何でこんなに時間がかかったのさ?」
「今回は厄介な事になっていてね」
「これだよ」
要さんが胸ポケットからハンカチを取り出しながら言った。
ハンカチを広げると、ガラスのかけらのような物がいくつも乗っていた。
「俺達が一本桜の所に行った時、木は空っぽだった。気配を追って行くと、見つかるのは分離したかけらばかりで」
「そんな欠けた状態で、よくこの家に入り込めたね」
「うちの門の外にもいくつかかけらが落ちていたよ。並の樹霊なら砕けていたことだろう」