龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
圭吾さんがハンカチの上に、拾い上げたガラス玉を乗せながら言った。
「壊れても壊れても、どうしても志鶴を追いたかったようだ。志鶴の力に惹かれたんだろうが、どうするつもりだったのかさっぱり分からない」
要さんはそっとガラス玉を撫でた。
「こいつは勘違いしたんだよ」
勘違いって?
「志鶴ちゃんに惹かれてフラフラついて来て、何かの弾みで志鶴ちゃんの持つ力に触れたんだ。その時、命の一部が欠けたのを、若返ったのだと思い込んでしまったらしい」
身が軽くなって、若返った気がして、それでわたしの周りをウロウロしてたのだと、要さんは言った。
「わたしには力なんてないのに」
要さんは首を横に振った。
「君は身の内に光り輝く力を持っているよ。弱れば、そこから光に触れられる。だから怪我をさせた――そう言っている」
「若返りたくて?」
「いや、もう一度花を咲かせたくて――」
圭吾さんが、ガラス玉を見つめて言った。
自分がもうすぐ枯れてしまうのは、分かっていた。
だからこそ、桜は願ったのだと言う。
「壊れても壊れても、どうしても志鶴を追いたかったようだ。志鶴の力に惹かれたんだろうが、どうするつもりだったのかさっぱり分からない」
要さんはそっとガラス玉を撫でた。
「こいつは勘違いしたんだよ」
勘違いって?
「志鶴ちゃんに惹かれてフラフラついて来て、何かの弾みで志鶴ちゃんの持つ力に触れたんだ。その時、命の一部が欠けたのを、若返ったのだと思い込んでしまったらしい」
身が軽くなって、若返った気がして、それでわたしの周りをウロウロしてたのだと、要さんは言った。
「わたしには力なんてないのに」
要さんは首を横に振った。
「君は身の内に光り輝く力を持っているよ。弱れば、そこから光に触れられる。だから怪我をさせた――そう言っている」
「若返りたくて?」
「いや、もう一度花を咲かせたくて――」
圭吾さんが、ガラス玉を見つめて言った。
自分がもうすぐ枯れてしまうのは、分かっていた。
だからこそ、桜は願ったのだと言う。