龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
もう一度咲きたい。
人が賑やかに集まるのを見たい。
枝を見上げて綺麗だと微笑む顔が見たい。
小さな、ささやかな願い……
「やっぱり、あの木を切らなきゃダメ?」
わたしの言葉に圭吾さんが頷く。
「黙っていればあと二、三年はもったのだろうが、命がこんなに欠けてしまったのでは……」
そうだ!
「お花見しましょ」
六つの目がわたしを見た。
「切ってしまう前に。花はなくたっていいじゃない。みんなを集めて、あの木の下でお花見しましょ」
みんなでお弁当を広げて、
おしゃべりして、
笑って、
そうして枯れゆく木に別れを告げよう。
「いいね」
悟くんが言った。
「風流じゃない。なあ、圭吾?」
「ああ。そうだな。三百年は生きてきた木だ。それくらいの見送りが相応しいのかもしれない」
人が賑やかに集まるのを見たい。
枝を見上げて綺麗だと微笑む顔が見たい。
小さな、ささやかな願い……
「やっぱり、あの木を切らなきゃダメ?」
わたしの言葉に圭吾さんが頷く。
「黙っていればあと二、三年はもったのだろうが、命がこんなに欠けてしまったのでは……」
そうだ!
「お花見しましょ」
六つの目がわたしを見た。
「切ってしまう前に。花はなくたっていいじゃない。みんなを集めて、あの木の下でお花見しましょ」
みんなでお弁当を広げて、
おしゃべりして、
笑って、
そうして枯れゆく木に別れを告げよう。
「いいね」
悟くんが言った。
「風流じゃない。なあ、圭吾?」
「ああ。そうだな。三百年は生きてきた木だ。それくらいの見送りが相応しいのかもしれない」