龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
要さんは『いいよ』って言って、アイちゃんの頭をポンポンと軽く叩いた。


あれ??


「どうした? 難しい顔して」

圭吾さんがわたしの横に来た。


「んー、何かな……余計なお世話かもしれないけど、あれ本気じゃないよね」

わたしは要さんとアイちゃんに目をやりながら言った。


「ああ……」

圭吾さんはクスッと笑った。

「要が本気かどうか君に分かるの?」


「失礼ね、分かるわよ。圭吾さんもお兄さんみたいな態度をとる時あるけど、ああじゃない」


「そうだな……可愛いと思ってるだろうが、あれは恋って感じじゃないね」


「なのに軽々しくあんな約束していいの? アイちゃん、本気にしない?」


「アイはあと何年かしたら、要以外の奴と本当の恋をするだろう。あの約束は、それまで側で見守っているって意味だと思うよ」


「アイちゃんが、大人になっても要さんを本気で好きだったら?」


「要を振り向かせる努力をすればいい」

圭吾さんはスッと目を伏せた。

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