龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】

司先生の車の横に、もう一台車が停まった。


ドアが開いて、助手席側から背の高いパンツスタイルの女性が降りた。

片岡先生だ。

運転席から降りて来たのは、デニムのロングスカートを着た女性――きっと先生のお友達だろう。

驚いた事に、後部座席からも人が降り立った。

わたしに手を振っている。


「美幸だ!」


亜由美もいる。


わたしは美幸達の方に小走りで近づいた。


「二人とも来ないって言ってたくせに!」

わたしは、はしゃぐように美幸に抱き着いた。


「亜由美に説得されたのよ。ただでご馳走を食べられるのに馬鹿みたいって」


「言ってくれれば迎えに行ったのに」


「あんたと圭吾さんには準備があるでしょ。だから片岡先生にお願いしたの」


片岡先生とお友達が顔を見合わせて笑った。


「あれ、『お願い』って言うの?」

片岡先生が可笑しそうに言った。

「わたしのアパートの前でヒッチハイクをしたように見えたけど」

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