龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
着替えてから、圭吾さんの前でクルッと回ってみせた。


「うん。かわいいね」


また、"かわいい"なの?


六歳年上の圭吾さんが相手じゃ、わたしは"かわいい"が精一杯。

でも、わたし達は婚約してもうすぐ一年だし、今年のバレンタインデーには大人の恋人同士にもなった。

たまには『綺麗だよ』って言ってくれないかな。


拗ねた台詞が出そうになったけど、グッと飲み込んだ。


わたしが何か言えば、圭吾さんはこれから先、わたしに『綺麗だよ』って言ってくれるだろう。

でも、わたしが欲しいのは『言葉』じゃない。

圭吾さんに綺麗って思ってほしかったら、思ってもらえるように自分が頑張らなきゃ。


今日は、圭吾さんも黒のジーンズだ。

スリムで長い脚によく似合う。

それと、少し切れ長の目元が綺麗。

羽竜家の人って、美形揃いなんだよね。

この圭吾さんに釣り合うためには、かなりの努力が必要かも。


「どうした?」

圭吾さんがわたしの顔を覗き込んだ。

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