龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「悟にぃ、ひでえ」
大輔くんが笑った。
どうして?
「ちょっとした仕返しだよ」
悟くんがウインクした。
「うちの父、生き物が苦手なんだ。で、母の方はこうと思ったら突進するタイプ。おまけに母は子供の言う事は聞いても、父の言う事を聞いた試しがない。あの分じゃ、父が『うん』と言うまで『犬を飼おう』って粘るよ」
「仕返しって、お父さんと何かあったの?」
わたしが聞くと、悟くんは軽く肩をすくめた。
「僕の進路の事で、ちょっとした意見の相違があってね。僕は基本、一族の仕事に関心がないんだ。はっきりとそう言ったら、大学の学費は出してくれないんだって」
「えっ? でも悟くん、勿体ないわ。すごく頭いいのに」
「しづ姫もそう思う? この才能を無駄にする事はないよね。そこで、だ。頭のいい僕は、圭吾から金を引き出そうと考えている」
「圭吾さんからお金を借りたら、結局は羽竜家の仕事をする事になるんじゃない?」
「そうでもないよ。圭吾の使いっぱしりをすればいいだけだもの。羽竜の仕事って、他にも色々面倒な事があるんだよ」
大輔くんが笑った。
どうして?
「ちょっとした仕返しだよ」
悟くんがウインクした。
「うちの父、生き物が苦手なんだ。で、母の方はこうと思ったら突進するタイプ。おまけに母は子供の言う事は聞いても、父の言う事を聞いた試しがない。あの分じゃ、父が『うん』と言うまで『犬を飼おう』って粘るよ」
「仕返しって、お父さんと何かあったの?」
わたしが聞くと、悟くんは軽く肩をすくめた。
「僕の進路の事で、ちょっとした意見の相違があってね。僕は基本、一族の仕事に関心がないんだ。はっきりとそう言ったら、大学の学費は出してくれないんだって」
「えっ? でも悟くん、勿体ないわ。すごく頭いいのに」
「しづ姫もそう思う? この才能を無駄にする事はないよね。そこで、だ。頭のいい僕は、圭吾から金を引き出そうと考えている」
「圭吾さんからお金を借りたら、結局は羽竜家の仕事をする事になるんじゃない?」
「そうでもないよ。圭吾の使いっぱしりをすればいいだけだもの。羽竜の仕事って、他にも色々面倒な事があるんだよ」