龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
このままでいい


圭吾さんの低い声と体温が心地好い。


『大好き』


溢れる気持ちを、心の中だけで告げた。


圭吾さんの左手がわたしの髪を梳いた。


気持ちいい


電話の相手は、司先生らしい。

新任の先生達の話をしている。

羽竜の血筋の生徒は、多かれ少なかれ特別な力を持っている。

それは秘密でも何でもないけれど、他所の土地から来た先生は戸惑う事だろう。


それにしても……


司先生、電話長っ!


いつもそうなんだよね。

いい加減に圭吾さんを返してよ。


電話の向こう側で、司先生の奥さんの優月(ゆづき)さんも焦れているんだろうか。


優月さんは圭吾さんの初恋の人。


圭吾さんは、複雑な気持ちになったりしない?

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