龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
ここでこうしているのが、わたしではなくて、優月さんだったらって思ったりしない?


わたし、バカみたい。

根拠のないヤキモチ妬いてる。


圭吾さんは、わたしが一番大切って言ったもの。

その言葉を

その思いを

ちゃんと受け止めて信じなきゃ。


「大好き」


今度は小さな声で呟いた。


圭吾さんの手が一瞬止まった。


優しい指が頬を伝い、唇に触れる。

わたしは、その薬指を口にくわえて軽く噛んだ。


圭吾さんは、フウッと大きなため息をつくと、

「司、今日はもう勘弁してくれ」

と、電話で言った。


「志鶴が待ちくたびれているんでね。うーん……じゃあ明日学校の方に行くよ。それでいいか?」


やった!

電話終わる?

ねえ、終わる?

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