龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
いつもは長い髪を乾かすのが面倒で、半乾きのままでいる。


「だって圭吾さん、ずっと電話してるんだもの。待ってる間にドライヤーをかけたら乾いちゃった」


「ゴメンゴメン。司と話すと、どうしても長引くな」


「お仕事の話? 何かあったの?」


「特に変わった事はないけど、司って話が回りくどいんだよ。学校でも説教が長くないか?」


「そういえば全校集会の時、いつも挨拶が長いわ。クラスの男の子達はタイムを計って賭けをしてる」


圭吾さんが笑った。


「志鶴の事も言っていたよ。進路調査表を白紙で出したんだって?」


「白紙じゃないわよ。ちゃんと『まだ迷っています』って書いたもの」


「ほぼ白紙じゃないか。何を迷ってるの?」


「わたし……何をやったらいいのか分からないの」


「大学の学部の事?」


「それもあるけど……わたし、大学に行かなくてもいい?」

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