龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「お母さんには僕がしてあげるから、他にやりたい事がないかよく考えてごらん」


はぁっ……

選択範囲が広いのも良し悪しだなぁ


今まで『なれるもの』にしかなった事ないんだもの、やりたい事なんて思いつかないよ。


「圭吾さんは、もし羽竜の当主じゃなかったら何になりたかった?」


「難しい質問だね。僕の場合は将来が決まっていたから、他の未来を考えた事がない」


圭吾さんは、『ならなきゃいけないもの』にしかなった事がないんだ……


「まあ、今は君との未来を考えたりするけどね」


優しい笑顔。


わたしは手を伸ばして圭吾さんに抱きついた。


「圭吾さん、大好き」




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