龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「どこの小学生?」

悟くんは、そう言った。

「しづ姫、男は大概において照れ屋だ。分かる?」


よく分かんない


「思春期を迎えた途端、弟は可愛くなくなるし、父親は煙たく、母親はウザくなる」


「どうして?」


「本心からそう思っているわけじゃないよ。言わば『カッコつけ』だね」


「悟くんも?」


「僕も。それ以上に大輔も。兄貴にベタベタ可愛がられたい男の子なんていないよ」


そうなんだ


「せっかくの兄弟なのに寂しくない?」


「僕らはオスだ。縄張りを守るのが習性で、大人になれば、兄弟といえど縄張りを争うライバルなんだよ。ただし、外敵には一致団結して立ち向かう――それが兄弟の利点で、その程度の距離感が丁度いいんだ」


ふうん


「大輔くん、前にわたしの弟になってもいいって言ってくれたけど、あんまり親しげにしたら嫌かなぁ?」

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