龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】

放課後の図書室で、わたしは頭を抱えていた。


目の前には学校のパンフレット。


大学が三校、専門学校が二校――どれも羽竜家から通学できる学校ばかりだ。


「試験日程がダブらないなら全部受ければ?」

これは、亜由美のアドバイス。


「並べてダーツで決めるとか」

こっちは美幸のアドバイス。


美幸方式で行きたくなってきた。


「自分がどんな人間になりたいのか、分からないの」

わたしは頭を抱えたままぼやいた。

「みんなは分かってる? 迷ったりしないの?」


「わたしは将来の職業重視よ。医療関係に進めば、取りあえず食いっぱぐれはないでしょ?」

と、亜由美。


「職業はともかく、わたしは県外の学校にするつもり」


「えッ! 美幸は余所に行くの?」


「だって、生まれてからずっとこの町にいるんだよ。一度は都会で生活してみたいよ」

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