龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
圭吾さんは笑いを含んだまま、コーヒーを飲んだ。


「志鶴といると飽きないな」


そりゃ どーも


「指はどうしたの?」


「指?」


「右の人差し指。キレイな色だけど、それ、絆創膏だろ?」


「あー、これ? 紙で切ったの。美幸が絆創膏はってくれたんだ」


「こっちへおいで」


言われるままに横に座ろうとすると、手を引っ張られて、圭吾さんの膝の上に座る羽目になった。

圭吾さんは、わたしの右手を光にかざすように持ち上げた。


「痛い?」


「全然。切った時はちょっとピリッとしたけど」


圭吾さんはホウッと息を吐いて、わたしの頭を自分の肩に乗せるようにして抱き寄せた。


「圭吾さんの過保護」


からかうように言うと、『何とでも』って返事が返ってきた。

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