龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「その続きがまだある。僕は一から十まで君の世話を焼きたい。ベタベタに甘やかして、わがままを全部ききたい」


「それって『愛する方が幸せ』ってことじゃないの?」


「大抵の女の子は、そんなに愛情を注がれたらウンザリするはずだよ」


そうかも


「でも君は僕の事が大好きだから、ウザイと思っても我慢してくれる。そのために愛されたいんだ」


わたしは笑いながら、圭吾さんの首に腕を回した。


「変な人。でも、大好き」


圭吾さんはわたしの髪を撫でた。


「志鶴?」

「なぁに?」

「キスするからね」


優しいキスはコーヒーの香りがした。


わたしは恥ずかしくなって、圭吾さんの肩に顔を埋めた。


「どうしてキスするっていちいち言うの?」


「いきなりキスしたら、君、無意識に逃げるだろ?」

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