龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「どちらにしろ、帰って来たら大騒ぎしてよ」


「気がつかないかも」


「そんな訳ないでしょう?」

彩名さんは笑った。


そうだよね……


浴室から出ると、彩名さんは膝にガーゼをあてて上からテープを貼った。

傷にくっつかないガーゼとかで、剥がす時に痛くないらしい。


「ガーゼとか、大袈裟じゃありません? すごい怪我みたい」


「この方がいいのよ。傷口を見たら、あの子、卒倒しかねないわ」


そう?


「圭吾さんって、血がダメなタイプ?」


「いいえ、人の傷口に塩を擦り込むタイプよ。圭吾にとって、志鶴ちゃんは宝物なの。大事な大事な宝物――はい、いいわよ」


「ありがとう、彩名さん」


「どういたしまして」


「少し丈の長いお召し物の方がようございますね」

和子さんがそう言って、膝下丈のサンドレスとカーディガンを持って来てくれた。

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