龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
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放課後の教室には、いつも女の子が数人、居残っている。
本を読んでいたり、ケータイゲームをしたり、集まってだべってたり――時間の使い方は様々だけど、彼氏の部活が終わるのを待っている子が殆ど。
「加奈ちゃん、長谷川くん待ち?」
わたしは本を読んでいる女の子に声をかけた。
キッチリと編んだお下げ髪と黒縁の眼鏡。
真面目を絵に書いたような松本加奈ちゃんは、一つ年下の『学校一のチャラ男』長谷川くんと付き合っている。
「うん。今日は特別講習を受けてるんだ」
チャラい外見とはうらはらに、長谷川くんは学年一の秀才でもある。
「志鶴は?」
「圭吾さん待ち。校長室に来てるの」
「ああ、そうなんだ――ねえ、座ったら?」
「本、読んでたんじゃないの?」
「暇つぶしだもん」
じゃあ、お言葉に甘えて。
わたしは加奈ちゃんの前の席に、後ろ向きに座った。
「ココア、半分飲む?」
わたしは自販機から買ってきた缶入りのホットココアを机の上に上げた。
本を読んでいたり、ケータイゲームをしたり、集まってだべってたり――時間の使い方は様々だけど、彼氏の部活が終わるのを待っている子が殆ど。
「加奈ちゃん、長谷川くん待ち?」
わたしは本を読んでいる女の子に声をかけた。
キッチリと編んだお下げ髪と黒縁の眼鏡。
真面目を絵に書いたような松本加奈ちゃんは、一つ年下の『学校一のチャラ男』長谷川くんと付き合っている。
「うん。今日は特別講習を受けてるんだ」
チャラい外見とはうらはらに、長谷川くんは学年一の秀才でもある。
「志鶴は?」
「圭吾さん待ち。校長室に来てるの」
「ああ、そうなんだ――ねえ、座ったら?」
「本、読んでたんじゃないの?」
「暇つぶしだもん」
じゃあ、お言葉に甘えて。
わたしは加奈ちゃんの前の席に、後ろ向きに座った。
「ココア、半分飲む?」
わたしは自販機から買ってきた缶入りのホットココアを机の上に上げた。