龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「飲む。待って、カップ持ってるから」

加奈ちゃんは鞄の中から小さなマグポットを取り出した。


「そっか。加奈ちゃん、お弁当派だもんね。自分で作るの?」

わたしはココアを半分こにしながら聞いた。


「そう。毎朝四人分ね」


「四人分?!」


すごっ!


「母親のと弟のと……その……長谷川くんの分と」


おお!


「えっ! えっ! 一緒に食べてるの? どこで?」


「家庭科室。でも、他にも人がいるんだよ」


「でもそれ、お弁当カップルばっかじゃないの?」


「まあ、そうだけど」


「お弁当かぁ……カッコいいな」


「志鶴も作ればいいじゃん。料理できるんでしょ?」


「できるんだけどさ」

わたしはココアを一口飲んだ。

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