龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「迷ってるなら無理しない方がいいよ。圭吾さんもそう言って待っててくれたもん」


「そうも思うんだけど、断り続けてたら他の女の子に走っちゃうんじゃないかって心配になって。ほら、わたしの場合は、志鶴ほど思われてないから」


いや、そうでもないと思うけど


「長谷川くん、加奈ちゃんにベッタリじゃない」


「今はね」

加奈ちゃんはそう言って頬杖をついた。

「わたし、自信ないんだ。おまけに恋愛経験ゼロだし」


「あー、それ、わたしも一緒」


「ホント? 告られた事とかも?」


「ないない」


笑って振ったわたしの手を、加奈ちゃんがガシッと両手で握りしめた。


「心の友よ!」


ジャイアン?


「もー、キスするだけでもわたしには大事(おおごと)なわけよ。分かる? 分かってくれる?」


うんうん 分かる

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