龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
コクコクと頷くと、加奈ちゃんはさっきまで読んでいた本を机の中から取り出した。


「ってことで、せめて知識だけでもって思ったんだけど」


わたしは、緑色のブックカバーがかけられた本を手に取った。

よく見ると、それは書店のブックカバーじゃなくて、元々の本の表紙を裏返すとブックカバーになるようにできているらしかった。

カバーをペラッと剥ぐってみる。


『絶対彼に愛される――恋愛下手な女子のための完全マニュアル』


へっ?

これって――?


「今、流行ってるんだよね」

加奈ちゃんが言う。

「恋愛小説家と女医さんの共著なの」


ページをパラパラとめくってみた。


おおっ!

これって、恋愛の教科書じゃん!


「か、加奈ちゃん、これ普通の本屋さんに売ってるの?」


「そうだけど――えっ?! まさか買う気?」


「えっ? 何か問題?」

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