龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】

うーん

よく分かんないなぁ……


小さな赤いボールをくわえたペロが、わたしの膝に前足をかけて立ち上がる。

わたしはボールを取り上げて、肩に止まっている白龍のシラユキに渡した。

ユキは赤いボールをくわえると、クイッと頭を振ってボールを遠くまで飛ばした。


ペロがボールを追って走っていく。


ユキは何事もなかったかのように、頭を下げてわたしの膝の上の本を覗き込んだ。


「ねえ、あんたって字が読めるの?」


ユキがキイと鳴く。


「読めるのかもね」


なにせ、龍神様のお使いだもんね。


「何か色々書いてるんだけどさ……」

わたしはため息をついた。


加奈ちゃんに譲ってもらった恋愛の教科書を、裏庭で一人隠れて読んでいる訳だけど――

謎は深まるばかりだ。


第一に、愛し合う行為にこれだけのバリエーションがあるのが不思議でしょうがない。

っていうか、圭吾さんにこんなコトしてもらった事がない。

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