龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「どうしてそんなに圭吾さんに知られたくないの?」

亜由美が不思議そうに言った。


「だって……上手く言えないけど……圭吾さんは、わたしを大事にし過ぎるの。わたしは、もっと普通でいたいの。圭吾さんにも気楽でいてもらいたいの。分かる?」


「言いたい事は分かるわ」

美幸が言った。

「でもね、あんたってどこか危なっかしいのよね。優し過ぎるっていうか、素直過ぎるっていうか」


「優しかったり、素直だったりするのはいけない事?」


「素敵な事よ」

亜由美が優しい笑みを浮かべた。

「でも残念なことに、この世の中じゃそういう人は酷い目に合いやすいの。圭吾さんみたいな人が守ってくれるから、志鶴がそのままでいられるって思えない?」


「わたし……」

笑われちゃうかなぁ

「守ってもらうんじゃなくて、圭吾さんを支える人になりたい」


二人は笑わなかった。


「なれるわよ」

亜由美がわたしの手をポンポンってたたいて言った。

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