雨が見ていた~Painful love~
そのくせ
『ったくよー。
オマエ、彼氏の一人でも連れてきてみろよ。青春、枯れすぎだろうが。』
会うたびにこんな悪態をつくキョウちゃん。
『そ、そのうち連れてくるもん!!』
『そのうちっていつだよ。
5年後か?それとも100年後?それとも死ぬ前か??』
『ひ、ひどい!!
いくら何でもそれはないよっ!!』
『あはは!!バーカ!
ムカつくんなら男の1人でも連れてこい!』
それが2人のおきまりのやり取り。
でもね?
そんな見てるだけで満足女の私にもようやく転機がやってきたの。
高校2年生の頃。私はキョウちゃんと同じスイミングスクールに通う、1つ年上の男の子に恋をしていた。
彼の名前は日野拓真(ヒノタクマ)
私立の男子高校に通う、男の子だった。
平泳ぎ専門で全体的にきれいな筋肉のつき方をしたキョウちゃんとは裏腹に、バタフライ専門の拓真くんは上半身がかなりガッシリしている。
キョウちゃんの練習を見に、何度も足を運んでいたスイミングスクール。ある日「練習終わりに遊ぼうぜ」とキョウちゃんに誘われた私は、1人でスイミングスクールにお邪魔していた。
その日は雨が降っていて。雨宿りがてら、スクール入り口の軒下でキョウちゃんが出てくるのを待っていたら
「あのさ。
濡れるから……、中入れば??」
突然、拓真くんに声をかけられたんだ。