雨が見ていた~Painful love~
「あ…でも…」
こんな別れ方しといて何食わぬ顔っていうのも……
さすがに心苦しくて断ろうと、身を固くしていると
「馬鹿ね。こっちがいいって言ってるんだから、響弥くんは気にしなくていいのよ。
気にするならあの大量の料理を気にして頂戴!!」
「…へっ…??」
「あんなに残って手つかずなんて…作った側に失礼でしょう?それに、3人前を一人で食べたら確実に5キロは太るわ!!」
綾音は突然プリプリと怒り出す。
そんな綾音がかわいくてプッと吹き出すと
「わかった?わかったら残飯処理をお手伝いしてちょうだい。」
綾音はいたずらっぽく、そう微笑む。
「…ほんとにいいのか?」
確かめるようにそう尋ねると
「もちろん。
嫌なら私はイヤだと叫ぶわ。
そうして欲しいから、そう言ってるの。」
綾音はケロリとして、そう答える。
「ま、最後の晩餐だと思って付き合ってよ。」
――ほんと…イイヤツ…。
男らしくて
潔い
最高にかっこいいオンナの申し出に
「じゃぁ…邪魔させてもらうわ。」
俺は凄く迷ったけれど
ありがたくそれに答えることにした。