雨が見ていた~Painful love~
ぶ、ブッキング?!
しかも、直近の撮影って……来週じゃない!!
どうしよう、どうしよう
どうしよーーーう!!!
真っ青になりながら、足を止めて途方に暮れていると
「ま……美織が今度でいいっていうなら、今すぐじゃなくてもいいけど……??」
電話の向こうで仁くんは楽しそうに、こんな悪魔なセリフを口にする。
「おバカ!!いいわけないでしょっ!!」
のんきな仁くんにカツを入れると
「今、桜上水のあたりを歩いてるんだけど…迎えに来てもらってもいい!?」
私はそう宣言する。
こんなずぶぬれで、膝小僧はすりむいてて、ボロボロになってる私を見たら仁くんはびっくり仰天するに違いないけど……この際仕方ない!!
電話じゃ対応は難しいし、直であったほうが確実に対策が練れるもの。
ムンッっと息巻きながらそう言うと
「了解。ちょうど俺もその辺にいるから、近くになったら電話するね。じゃぁ、またあとで。」
仁くんはさわやかにそう笑って、静かに携帯の通話を切ったのだった。