雨が見ていた~Painful love~


衣類はびちょびちょ
膝は血だらけの私を見て


「うーん。沼地のカッパ……ねぇ。」



仁くんはなにやら不可解な一言を口にする。





――ん!?沼地のカッパ!?





どこかで聞いたことのある、そのフレーズに首を捻っていると


「…ぶふっ。アイツもよく言い当てるなぁ。」


仁くんはなぜかゲラゲラと笑いだす。





――え~!?なんでそこで爆笑するのよ!!





何だかイラッときた私が


「ちょっと!なんでそこで笑うのよっ!!」


ビシッと注意をすると


「…あぁ、ゴメンゴメン。
あまりに響弥の言った通りの姿だったから…思わず笑っちゃったんだよ。」


仁くんは、一番聞きたくなかった男の名前を口にする。






――キョウ…ちゃん??


なんでそこでキョウちゃんの名前が出てくるの!?




意味が分からなくて


「なんでそこでキョウちゃんが出てくるの?!」


イラつきながら仁くんを睨むと


「だって…俺に美織を迎えにいけって言ったのは響弥だから。」


“今日はいい天気だね”とでも言うように
仁くんはサラリとこんな言葉を口にする。




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