雨が見ていた~Painful love~


このまま仁くんの車に乗ってしまいたい。



だけど、乗ったら最後、キョウちゃんの思惑にまんまと乗ってしまったようで、なんだか悔しい。





イライラMAX
怒りが最高潮に達した私は


「…帰る!!」


仁くんに背を向けて、勝手にトコトコと歩き出す。





キョウちゃんの思い通りになんてなりたくない!!仁くんの車に乗ることは、キョウちゃんに屈したことと同義語だ。





ふん!!
絶対に私はアイツの思い通りになんてなってやらない!!


思い知ればいいんだ。
私はあの頃の私じゃない!!
ちゃんと自立した一人のオトナの女性なんだからねっ!





胸の中に巻き起こった小さな反抗心と共に、息巻きながらフンフンと歩いていると




「美織~。スケジュールは調整しなくていいの~??」



私の背中に向かって
仁くんはこんな悪魔な一言を浴びせかける。



――あ……!!




すっかり忘れていた、その重大事項。
一瞬我に返ったけれど




ダメよ、美織!!
ここで負けたらだめっ!!




ムンッっと自分を奮い立たせて、もう一度歩き出す。




< 114 / 545 >

この作品をシェア

pagetop