雨が見ていた~Painful love~
このまま仁くんの車に乗ってしまいたい。
だけど、乗ったら最後、キョウちゃんの思惑にまんまと乗ってしまったようで、なんだか悔しい。
イライラMAX
怒りが最高潮に達した私は
「…帰る!!」
仁くんに背を向けて、勝手にトコトコと歩き出す。
キョウちゃんの思い通りになんてなりたくない!!仁くんの車に乗ることは、キョウちゃんに屈したことと同義語だ。
ふん!!
絶対に私はアイツの思い通りになんてなってやらない!!
思い知ればいいんだ。
私はあの頃の私じゃない!!
ちゃんと自立した一人のオトナの女性なんだからねっ!
胸の中に巻き起こった小さな反抗心と共に、息巻きながらフンフンと歩いていると
「美織~。スケジュールは調整しなくていいの~??」
私の背中に向かって
仁くんはこんな悪魔な一言を浴びせかける。
――あ……!!
すっかり忘れていた、その重大事項。
一瞬我に返ったけれど
ダメよ、美織!!
ここで負けたらだめっ!!
ムンッっと自分を奮い立たせて、もう一度歩き出す。