雨が見ていた~Painful love~
あの頃よりも随分たくましくなって
少年から青年へ
オトナの男の人に変化した拓真くんの顔を私は直視できない。
――一人百面相……
そう言われてしまうと身もフタもない。
だってこんな風に誰かを待っていることって、今までなかったから。
男性恐怖症になってしまってから、こんな行動に自分が出ることなんてなかったから……
行動がおかしいと言われてしまってもしょうがない。
だってどんな顔すればいいのかわからないんだもの。
そう感じた私が
「うん…、ごめんね、挙動不審で。」
「…え??」
「なんか昔を思い出してドキドキしちゃったの。
挙動不審で…ごめんなさい。」
素直に謝ると
「……反則だろ、その返し……。」
拓真くんは口元に右手を当てたまま、そっぽを向いて何かをつぶやく。