雨が見ていた~Painful love~
拓真くんの謎の言葉の解明に頭の中をフルスピードで回転させていると
「…ま、いいや。
とにかくココ出ようぜ。」
拓真くんはクイッとアゴで玄関をさす。
――え、えぇ!?
解明されない答えにもどかしさを感じながらも、サッと歩き出す拓真くんの後ろを私はチョコチョコとついていく。
その図はカルガモの親子の散歩のようで、なんだか微笑ましい光景に思えてきて
「ふふっ。」
思わず笑うと
「…??」
拓真くんは怪訝そうな顔をして私を振り返る。
そんな拓真くんに
「あ、ごめんなさい。
この図がカルガモの親子みたいで面白くって。」
クスクス笑いながらそう答えると
「それ…昔も言ってた気がする。」
拓真くんはそう言って、ふんわりと柔らかに口元をゆるませる。
――え!?昔も!?
その言葉に驚いて目を真ん丸にさせていると
「俺と響弥の後を後ろからチョコチョコ着いてきててさ?突然笑い出したかと思って振り返ると“私、カルガモの子供みたい”って言ってクスクス笑ってた。」
そう言って
思い出したように、拓真くんは笑いだす。