雨が見ていた~Painful love~
ブツブツブツブツ言いながら、電車のなかでつり皮をぎゅうっと握りしめていると
「オイ、ブス美。」
「いたいっ!」
「思ってることがあるなら声に出せ。
一点見つめてブツブツ言われたら、この俺様が変な目で見られるだろうが!!」
キョウちゃんはムスッとしながら、持っていたカバンで私のお尻を殴る。
――この、悪魔め……
コレが年上のお姉さんに対する態度なの?!
理不尽だ……
やっぱりキョウちゃんは理不尽だ……
そう思いながら、ジトッとした目でキョウちゃんを睨んでいると
「どーせ、美織のことだから正しい男女のお付き合いのルールとか段取りとか。美しい男女交際とは、とか、わけわかんねぇこと考えてンだろ。」
「……う……。」
「んで、考えても考えてもよくわからなくて、自分一人じゃ答がみつかんなくて、仕方ないから思考を完全に停止させてたろ。違うか??」
う、うう!!
そのとおり……!!
え、エスパー?!
この人エスパーなの?!
ズバリ言い当てられた悩みの種に、ドキリとしながらつり革をさらに強い力で握りしめると
「とりあえず、上手く付き合うコツは相手に対して遠慮しない……ってことだな。」
ハァとため息を吐きながら、キョウちゃんはポツリと呟く。