雨が見ていた~Painful love~


この廊下で
この建物のなかで
キョウちゃんと私、そして拓真くんはいつも一緒だった。



大きなスポーツバックを抱えて、男同士で盛り上がって話すキョウちゃんと拓真くんに、そんな二人を少し離れた所から見つめてた、私。




――そっか……

そういえば、そんなこともあったな。





当時を思い出して懐かしくなる。






カルガモの親子……か……。







バカだなぁ、私。
あの頃とちっとも変わってないなんて。


どう考えても、精神年齢低すぎでしょう。





そう思うと情けなくて、おかしくて一人でクスクス笑っていると


「……どうした??」


拓真くんは不思議そうに首をひねる。





「あ、ごめん!
私って進歩がないな~と思ったら、なんか情けないやら、恥ずかしいやらで、思わず笑っちゃったの。」



照れながらそう答えると
拓真くんは



「いや……
俺はそういう所がカワイイ……と思う。」



相変わらずの無表情のまんま
こんな嬉しい一言を口にする。



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