雨が見ていた~Painful love~
か、カワイイ?!
思いがけず飛び出した
拓真くんの爆弾発言に驚いていると
「桐谷さんのそういう所、変わってなくてホッとする。桐谷さんのそういう所、俺はカワイイなってずっと思ってたから……。」
拓真くんはポリポリと頭を掻きながら、恥ずかしそうにそんな言葉を口にする。
――う、うぎゃあああぁぁぁ!!!
10年ぶりに訪れたドキュン発言に私の心臓は高鳴りまくり。
や、やばいよぅ!!
こういうの久しぶりすぎて、心臓が痛いよ…!!
思えば、あの一件から恋愛経験が完全に凍結してしまっている、私。
彼氏もいなければ
好きな人さえいない10年
思えば……
私の最後の恋は…目の前にいるこの人だった。
ぶっきらぼうだけれど
優しい拓真くん。
無表情だけど
ちゃんと思いやりのある、拓真くん。
1つ年上の自慢の彼氏だった、拓真くん。
大好きで
大好きで
それしかなくて。
ハジメテを捧げるつもりだったのはキョウちゃんではなく、目の前にいるこの人だった。
この道
この風景
この距離感
すべてがあの頃と重なって、私の心がキュウと鳴る。
ううん。
実際にはただ胸が苦しくなっているだけなんだけど、あの時の私にはハッキリその音が聞こえたんだ。
キュウ、キュウと
切ない鳴き声を上げる心臓を押さえながら
「私も…拓真くんのそういうとこ大好きだった。」
私はあの時言えなかった言葉を口にする。