雨が見ていた~Painful love~
「……。」
「……。」
「……。」
耳に流れる、車のエンジン音に
遠くに聞こえる人の声
私と拓真くんだけがいる、小さな公園
近くに見えるのは
二人の口から洩れる、白い息。
そうやって手をつないだまま
どれくらいの時間が流れただろう。
最後の一言が
決定的な一言が言えなくて
目をつぶって、下唇を噛んだままの私。
そんな私をずっと根気強く待ってくれて、優しく私の手を握ってくれる拓真くん。
「……。」
「……。」
「……。」
言いたい…
だけど言えない。
なんて言えばいいんだろう。
どう伝えればいいんだろう。
怖くて
固まってしまった私の手を優しくなでると
「大丈夫。
俺…桐谷さんからどんな言葉が飛び出してきても、受け止める準備はできてるから。」
そう言って、拓真くんはふんわりとほほ笑む。
「俺、気は長いほうだからいつまででも待ってる。心の準備ができたら言って。」
――拓真くん…。
カレのあったかい一言に心の中が熱くなる。
そしてこの人を好きでよかったと心底思う。