雨が見ていた~Painful love~
――拓真…くん…!!
その言葉、本当に信じていいの…??
今まで私は男の人が怖かった。
触れられたら、近づいたら、また同じようなメに合うんじゃないかと思えて、怖かった。
でもそれ以上に…自分が嫌だった。
そんなこと思っちゃいけない!
そう思っているのに…私は自分がひどく汚れているように感じていた。
キョウちゃんに奪われたあの日
メチャクチャに傷つけられたあの行為
同意の上じゃなく
暴力で奪われた私の初体験
何度考えても
あの行為は幸せな時間だったとは思い難く
私は自分がいけないから
自分が悪いから
ああなってしまったんだ。
キョウちゃんの言うとおり
責任があるのは私なんだって
自分を責めて苦しんでいた時期がある。
そんな風に自分を責めたら…
今度は自分が汚い存在に思えた。
ひどく汚れて
ひどく不潔な自分の存在
私は自分に価値なんてない
0以下の存在
本当にそう思っていた。
誰にも話せない、は
誰にも頼れない、と同義語だ。
この傷はずっと私が一人で持ち続けて
苦しみ続ける負の遺産。
この傷の共有者は奪った本人のキョウちゃんだけ
そう…思っていたのに……
拓真くんは、あんなにひどい別れ方をして
こんな体になってしまった私を許してくれるの??
あれから10年も経っているのに
それでも私と向き合おうとしてくれているの…??
信じられない
だけど、うれしい。
すがりたい
ずるい私はそう思う。