雨が見ていた~Painful love~
彼に抱きしめられながら
いつの間にか体の冷たい震えは止まっていて
代わりに心臓がドクドクと熱い音を立てて
私の体を高ぶらせる。
このまま彼に寄り掛かれたら
どれだけ楽になるだろう。
どれだけ幸せになれるんだろう。
だけど、本当にこんな私でいいのかな。
拓真くんと再会して
私は何度も何度も彼にドキドキさせられたけれど…、きっと拓真くんの気持ちと私の気持ちはイーブンじゃない。
拓真くんが想ってくれていた気持ちと同じように、私もカレのことを思っていたかと言われれば答えはもちろんNOになる。
それって…あまりにも不誠実なんじゃないのかな。
好きだから…じゃなくて
すがりたいからカレの手を取っているように思えるよ。
そう思って
「あの……。」
きっぱりとこの申し出をお断りしようとした、その時
「返事は…ゆっくりでいい。」
拓真くんはそう言って、柔らかにニッコリとほほ笑む。
「言っただろ?
俺、気だけは長いほうだから、桐谷さんがOKしてくれるまで待ってるよ。」