雨が見ていた~Painful love~
――え…??
その言葉に驚いて、目を真ん丸にしたまま彼をじっと見つめていると
「10年ぶりの再会で突然こんなこと言われても困るだろ?俺、ゆっくり待ってるから、焦らず答えをだしてくれ。」
彼はフフと笑いながら、私の頭をガシャガシャと乱暴に撫でる。
グシャグシャになる髪の毛に
「ちょ、ちょっと、拓真くん!!」
抗議の声をあげると
「……やっと笑った。」
拓真くんは嬉しそうに目を細める。
「俺、その顔が見れれば満足。
いつもそうやって笑ってくれればそれでいい。俺の近くでそうやって笑ってくれたら、それだけでいい。だから…さ?難しく考えなくていいから。利用するならすればいいから。」
拓真くんはヨッコイショと掛け声をかけて立ち上がる。そして私の右手をキュッと握ると
「じゃ、帰ろうか。桐谷さん。」
「え、えぇ!?」
「家まで送る。」
相変わらずの仏頂面で。あの頃と同じセリフで彼は私の手を握る。
――え、えぇ!?
戸惑いながら目線をオロオロと泳がせていると
「こんな寒空に放置するのは男としていかがなものかと。夜道、不安だろ?送っていくよ。」
「え、ちょっと!!」
「…送ってく。」
拓真くんはグイと私の手を引っ張った。