雨が見ていた~Painful love~
どんどん濃くなる
二人の白い息
公園で話しているうちにずいぶん時間は過ぎてしまっていて、気温はどんどん下がっている。
拓真くんにひっぱられるまま、商店街を練り歩いて駅に着くと、彼はあの頃と同じように手をつないだまま改札を通っていく。
あの頃と同じ道。あの頃と同じ距離感で歩いていると、まるで何もかもがあの頃に戻ったようで、心の奥が軽くなる。
電車を待ってる間も
電車に乗っている時間も
全てがあの頃のままで、まるでタイムスリップしたようだった。
私の自宅の最寄り駅について自宅の前にたどり着くと
「じゃ、また。」
拓真くんはアッサリと繋がれた手を放す。
「うん、ありがとう。」
そうお礼を言うと
「コレ…俺の携帯番号とアドレス。」
拓真くんは私の目の前に一枚のメモを差し出す。
「…え??」
驚いてカレの顔を見あげると
「まずはお友達から…ってコトで。俺の気持ちが迷惑じゃないならいつでも連絡して。」
そう言って、彼はほほ笑む。
「迷惑なんて、そんなコト思うわけないよ!!ありがとう。おうちに戻ったらすぐメールする。」
そう反論すると
「…ありがとう。
すげーうれしい。」
彼は少し頬を赤く染めながら、そう答えたのだった。