雨が見ていた~Painful love~


――まぁ…それはそうなんだけど。



パパの言うことは、ホントに間違いなくそうなんだけど。




それでもやっぱり、あの気の強い二人のお世話をするのは私たち平社員なワケで。




「あ~~~っ!ったく!ほんと、イラつく!!」


「どうしたの??喜多川くん。」


「あのワガママ王子の相手はマジで疲れる!!」





吉良光太郎とキョウちゃんの評判はすこぶる悪い。



「キラ、野心がありすぎなんだよ!!」



私の隣のデスクに座る喜多川洋介くんはブツブツぼやく。



喜多川くんは吉良光太郎の担当。
私はキョウちゃんの担当。
私たちはお互いの不幸な境遇を励まし合って、慰め合っている仲だ。





「この間、藤堂にTV出演の話が来たろ??」


「あ、あぁ……。」





SGスイミングスクールへの誘いを蹴って、METSERA(メトセラ)への就職を内定させたキョウちゃん。


METSERAからのお声がけもあって“News.88”っていう情報番組に出させて貰ったんだよね。


リオを目指す、注目アスリート…みたいな特集に取り上げてもらったんだ。





良くも悪くもその影響でキョウちゃんはちょっとした有名人になってしまっているんだけど……それが吉良光太郎に何の問題を起こしているっていうんだろう。




< 190 / 545 >

この作品をシェア

pagetop