雨が見ていた~Painful love~
「……お互い……ワガママ王子のお世話は大変だね……。」
「…だな。」
喜多川くんと私は窓の外を見つめながらハァ〜と深くため息を吐く。
そんな時
♪Trrr...Trrrr....♪
デスクの上の携帯が鳴り響く。驚いて手に取ると、そこに出てきた名前は“藤堂響弥”
――うわぁ、ウワサをすれば……。
タイムリーに飛び出したワガママ最低男の名前にげんなりしていると
「桐谷、携帯鳴ってるぞ??」
「あ……うん。」
喜多川君は疲れたようにそうつぶやく。
――はぁ、仕方ない!
ハラをくくって
「はい、もしもし。」
通話ボタンを押すと
「一時間後に帝体大プール。」
「え、えぇ!?」
「チッ。聞こえなかったのかよ。
1時間後に帝体大プール。じゃあな。」
♪プープープープー♪
通話が一方的に切られてしまった。
――な、なんだ、そりゃ!!
なんなの?!
今の電話、なんなのよ!!
いつだって俺様で
容赦なくって
私を下僕だと思っている
悪魔の申し子!!
なんなのよ!!
一時間後に“帝体大プール”って!!
なんで…なんで私が行かなきゃならないのよ!!